【一般公開】散弾銃でマズルフラッシュが起こる原因とデメリット

銃口から強い光が発生する現象や発生する光のことを「マズルフラッシュ」という。

拳銃やカービンモデルなどの短い銃身を持つ銃種では良く見られる現象である一方、国内で所持許可が降りる散弾銃は銃身長が約20インチ以上と比較的長い為「マズルフラッシュ」は本来発生しにくいはずだが、残弾射撃大会などでは「マズルフラッシュ」が稀に起きている。

これにもちゃんと理由がある。

【無煙火薬の燃焼速度は無煙火薬の表面積で概ね決まる】

ライフリングを想定されたサボットスラッグは別として、スムースボアで発射するショットシェルの多くは燃焼速度が速い無煙火薬が採用される。燃える速度は無煙火薬の形状で概ね決まり、大体は薄いチップ状で複数の小さい穴が開けられた、表面積が大きい形状が良く採用されている。

 

 

【ショットシェルの設計上の特徴】

ここでは詳しく紹介しないが、ライフル実包や拳銃実包のファクトリーロードは長期保管しても無煙火薬の品質が変わりにくいように特殊な工程を経て製造される。逆にハンドロードの多くはその処理を行うことがほぼ無いため、ファクトリーロードよりも無煙火薬の経年劣化の速度は速い。

散弾銃用のショットシェルの場合はどうだろうか?

実はファクトリーロードもハンドロードも同程度に外気の影響を受けやすく、内部の無煙火薬が変質しやすい為、長期保管に向いていない。この「長期保管に向いていない」ことが実は「マズルフラッシュ」と関係している。

※画像はB&P社のショットシェル構造が分かる写真

 

 

【原因は無煙火薬の形状が変質することによる燃焼速度の低下】

国内において人間が目視できるほどのショットシェルの「マズルフラッシュ」は、銃身内で燃え切ることが出来なかった無煙火薬が、銃口から排出されて「周辺の酸素」と反応して強い光エネルギーが生まれることによって起こる。感が良い人ならここまででなんとなく分かっているのではないだろうか?

つまり、メーカーが想定している火薬の燃焼速度より遅くなっているということである。

 

 

【高い湿度や雨に晒されたショットシェルは無煙火薬の品質が下がっている可能性有】

出猟時に雨に濡れてしまった未使用のショットシェルや、湿度が高い場所で長期間保管されたショットシェルの無煙火薬は、湿気によって無煙火薬同士が重なるように癒着する。体積に対して表面積が小さくなってしまうことで燃焼速度が遅くなり燃え残りが発生しやすくなる。本来銃身内で燃焼を終えて弾をより速く飛ばすための燃焼ガスとなるはずだった無煙火薬が銃口付近で燃えている為、本来メーカーが意図している圧力より少なく、初速は通常時より遅くなっているはずである。

 

 

【ファクトリーロードで発生する「マズルフラッシュ」は事故や故障のサイン】

ハンドロードは別として、ファクトリーロード(既製実包)で「マズルフラッシュ」が発生している場合、銃身内で弾頭が止まってしまう「停弾(ていだん)」が発生する確率も上がっている。

停弾に気付かず次弾を発射してしまうと異常腔圧(いじょうこうあつ)が発生し、最悪銃身が破裂してしまいかねない。所持者はもちろん、金属破片が飛び散り周辺の人へ怪我をさせる非常に危険な現象である。また、火薬ガスの圧力を利用してセミオートアクションを実現している銃の所持者はこういった古い弾を使用する際は装填不良の可能性も飛躍的に上がる。より注意が必要だ。

 

 

【ただの銃口から出る光と思わないことが大事】

知識として持っておくだけで、銃が悪いのか、弾が悪いのか判断することが出来る。国内では修理を受け付けている銃砲火薬店でも安易に試射することは出来ないため、

「何gの弾をどんな銃身でどの銃で撃ったのか」「マズルフラッシュはあったか」「弾倉内2発+薬室内1発の状態から◯発目に必ず装填不良が起きる」などの細かい情報を持ってきてもらえれば迅速な修理の手がかりになる。

自動銃の装填不良(弾詰まり:ジャム)に関しては「マガジンチューブ~エレベーション」で詰まるのか「エレベーション~アクション」の間で詰まるのか「アクション~チャンバー」の間で詰まるのかが分かりさえすれば原因となる部品が大体判明する。

故障した時やおかしいな?と思ったときほど冷静に上記のことを思い出してメモし、行きつけの銃砲火薬店へ相談してほしい。

最後に、散弾銃用の弾は品質の劣化が早い。撃てるから正常と考えるのは少し危ない為、経済的な部分も含め出来る範囲で古い弾を残さないようにしたい。