作用・反作用の法則とは、「物体Aが物体Bに力を及ぼす(作用)とき、必ず物体Bは物体Aに同じ大きさで逆向きの力を及ぼし返す(反作用)」という物理法則のことである。
例えば、池の上で同じ大きさのゴムボートが2つあり、片方がもう片方のボートを押した時、押されたボートは押された方向に動き、押した側のボートは押した方向とは反対の方向(反作用)へ動く。
銃に置き換えてイメージしてみよう。

「火薬の燃焼ガス圧力(物体A)が弾頭(物体B)に力を及ぼす(作用)とき、必ず弾頭(物体B)は火薬の燃焼ガス圧力(物体A)に同じ大きさで逆向きの力を及ぼし返す(反作用)」この逆向きに発生した力(反動の根源)は薬莢の底→機関部(ブリーチ)→銃床→リコイルパッド→肩の順番に伝播(でんぱ)し、射手は反動を感じ取る。これが反動の正体と体感するまでの流れである。
【反動の根源の大小は「飛ばす物体が押しやすいかどうか」で概ね決まる】
○ 反動の根源の大小は大きく2つの要素で決まる。
1つ目は、質量の大きい(重い)弾頭ほど反作用が大きくなるということ。
単純に静止状態の重い物体(重い弾頭)を動かし始めるには最大静止摩擦力(物体が滑り出すのを妨げる力)に打ち勝つためにより大きな力が必要になる。その大きな力の反作用として射手へ跳ね返ってくるのだ。
2つ目は、小さい口径ほど火薬の燃焼ガス圧力が少ない力で押し出せるということ。つまり、口径(火薬の燃焼圧力が押さなくてはならない投影面積)が大きいほど力が必要になり反作用が大きくなるということだ。
同じ大きさの力で押す場合、接触面積が小さいほど押す力は大きくなるという法則がある。これは、力を加える面積が狭いほど、力が集約され少ない力で最大静止摩擦力(物体が滑り出すのを妨げる力)に打ち勝てるからだ。

【一発弾の世界では、もはや異端児な散弾銃の12番径スラッグ】
12番の散弾銃で初めてスラッグ弾を発射した時、あまりの反動の大きさに数発で初撃ちを終える人は多い。それもそのはず、反作用がとてつもなく大きい弾である。
12番スラッグ弾頭とライフル弾頭を同じ単位に変換して比較すると分かりやすい。
・12番 ・・・ .728(口径) × 370~493.8グレイン (24~32 グラム)
・308win ・・・ .300(口径) × 150~180グレイン (9.7~11.6 グラム)
【反動を少なくするには?】

・銃を重くする(銃本体の最大静止摩擦力を上げる)
・口径を小さくする(火薬の燃焼圧力が押さなくてはならない投影面積を小さくする)
・弾頭重量を軽く(弾頭の質量を小さく)する(弾頭の最大静止摩擦力を下げる)
・反作用の力を分散・吸収する(リコイルパッド・ショックアブソーバーが搭載された弾の使用(B&Pレジェンドなど)・銃床の中にダンパーやショックアブソーバー(Beretta社 KICKOFFなど)を組み込む 等
・射手の体重を増やす(射手自身の最大静止摩擦力を上げる)
【反作用の力の流れを知って何か役に立つのか?】
どこで何を軽減するのか、どのくらい軽減できるのかを理論的に考えることによって、故障のリスクを減らせる可能性がある。
たとえば、銃本体の最大静止摩擦力が低い状態(総重量が軽い状態)で軽合金のマウントベースとマウントリング、そこに重い高倍率の高額スコープを取り付けて32gのスラッグを撃ったらどうなるだろうか?決して低くない確率でレチクルワイヤーが飛ぶか千切れて望遠鏡と化すかもしれない。
また、銃のセミオートアクションのシステムには、この反作用の力を利用したものや、反作用の反対側に推進力を生みだし低反動化させるギミックが搭載されているモデルも存在する。
反動の根源を知ることは、世界中にあふれる全ての銃の一部を知るに等しい。知っておいて損は無い知識の一つだろう。
