【一般公開】上下二連散弾銃の閉鎖機構の種類と特性について

 

【閉鎖機構とは?】

火薬の燃焼ガス圧力を上手く閉じ込めることで弾は唯一の逃げ道である銃口側へ押し出され標的へ飛んでいく。薬室へ弾を装填した後、射手側へ圧力が逃げないように閉じ込める役割を担う機構、またはその役割のことを閉鎖機構と呼ぶ。この閉鎖機構の設計1つ取っても銃のプロフィールは様変わりし、射手へ様々なアドバンテージをもたらしてくれる。

軍用銃などはその道のファンが既におおむね解説しているので、今回はあまり知られていない上下二連散弾銃の閉鎖機構についてスポットを当てて紹介しよう。

本記事はこれから銃を選ぶ際の指標、もしくは現在所持している銃の設計思想を知ることでカスタムや射撃姿勢の見直し、筋力トレーニング等の微調整などに役立ててほしい。

※銃の設計思想 = 軍用でも競技銃でも、安価で弱点の無い全能な銃など存在しない。どんな銃でも撃ち手を取り巻く環境や競技のルール、求められる性能の優先順位、販売価格帯などを決めて設計されている。銃から設計思想を読むことが出来ればその銃の特性や強み、弱点などが次第に見えるようになるだろう。

※本特集が全国の銃砲火薬店の商売の障害にならないようにメリット5割、デメリット1割、4割は秘密で記載する。

※結局は選んだ愛銃で長く練習したほうがスコアは伸びるという前提を忘れてはならない。あくまで銃の買い替えや趣味を楽しむ用途として見てほしい。

※画像はB.C.MIROKU MS2000Gr.1 (アンダーロック機構)

  

【メーカーにより多種多様あるが基本は3種類】

すべてのメーカーの閉鎖機構を吟味するように紹介すると膨大な量になるため、3種類に無理やり分けて紹介する。知っておけば概ね銃選びの判断基準には十分だろう。

どのメーカーが何に情熱を燃やして機関部を設計しているのか、何を売りにしているのかわかるようになるはずだ。

※画像はベレッタ社 DT11 (トップロック機構の左側:カンヌキ側)

 

アンダーロック機構】

・製造コストが低く、リーズナブルな価格帯で市場へ投入できる。

・修理も安価になりやすくクレー射撃のエントリーモデルやクレー射撃のライトユーザーには特におすすめ。

・耐久度はまずまずな傾向。

・ロッキングラグが銃身の下に位置しており、その分銃身が射手の肩から上部へ離れてしまうため、マズルジャンプ(発射後の銃口の跳ね)が大きくなる。つまり、2の矢の追撃性能が他の閉鎖機構よりも低くなるというデメリットがある。

※シーザーゲリー二社は従来のアンダーロック機構より機関部全高が低く製造出来ており、マズルジャンプのデメリットを抑えることに成功している。また、摩耗箇所を硬質クロームメッキで仕上げることにより高い耐久性能を実現している。アンダーロック界隈ではかなりの異端児である。

※画像はシーザーゲリー二のアンダーロック機構。

 

【センターロック機構】

・人の手で行う仕上げ工程が多く、製造コストは高くなりやすい。

・機関部の重心バランスが3つの中で特に良くなりやすく、スイング性能が高くなりやすい。

・機関部の全高をかなり低く出来るためマズルジャンプを抑えやすくなる。

※特にペラッツィのMXシリーズやハイテックシリーズ、アントニオゾーリのクロノスシリーズ、ベレッタのSL2シリーズなどは、機関部下側寄りに閉鎖機構が位置しており、機関部の重量バランスが全体的に下へ集中している。これによりさらにスイングが安定しやすくなっている。

・アンダーロック機構より耐久性が高くなりやすい。

※画像はペラッツィ社 ハイテック(アンダー寄りのセンターロック)

 

【トップロック機構】

・製造コストはアンダーロック機構より高くセンターロック機構より若干抑えられる。最終的な仕上げは人の手が多く必要になる。

・発射した際の応力に一番対抗しやすく3つの閉鎖機構の中で耐久力が高くなりやすい。

・機関部の全高を低く設計出来るためマズルジャンプを抑えやすい。※アンダーロック機構より全高は低く、センターロック機構より若干高くなりやすい。

・上銃身のチャンバーが肉厚になり、わずかだがクレーの視認性が悪くなる。

※オリンピック競技でもDT11ではなく694で出場しているのはこういった閉鎖機構の弱点と射手の得手不得手などを考慮してのことだろう。(反応速度が遅い選手はクレーの視認性を優先したほうが良い、など)

※画像はベレッタ社 DT11 EELL (トップロック機構のカンヌキ反対側)

 

【メーカー毎に異なる閉鎖設計】

何を優先して、何を削減して開発・設計したのかメーカー側の設計思想を吟味するのも以外に楽しいかもしれない。最後に一部のメーカーとモデルの閉鎖機構を記載しておく。

また、同じセンターロックの仲間であっても、ベレッタの68系や69系のようなセンターロック(上銃身に2ボスロックを備えたシステム)と、ペラッツィ社のハイテックやベレッタのSL2のセンターロック(下銃身に2ボスロックを備えたシステム)ではコスト面や機関部バランスに雲泥の差がある。

3つに分けて紹介した閉鎖機構はあくまでその傾向があるということを胸に留め、銃砲火薬店や射撃場の備え付け銃で実際に手に取り設計の力をその身でまず感じ取ってほしい。

組んだ状態の機関部の底から上部までの高さ、重量バランス、ロッキングラグの鋼材や仕上げ(硬質クロームメッキがされているかなど)を見て耐久度やマズルジャンプの程度を予想してみるのも案外面白いだろう。

所持許可証さえあれば射撃場の備え付け銃で、実際に撃ち比べることも出来る。

【ぐんまジャイアント総合クレー・ライフル射撃場】であればSL2もDT11もある為、センターロックとトップロックの比較も出来るだろう。

https://sightron-pyrotechnics.co.jp/shootingrange_guide.html

※機関部がスチールではなく軽合金で出来ているモデルは基本的に耐久性は大きく落ちる。主にハンティング向けに設計された鋼材選択で数十万発以上を想定していないからだ。耐久性より軽量で携行性を優先した設計思想の一つである。ここではあくまで鋼材に触れず「閉鎖機構の設計が持つ耐久力」にスポットを当てて記載しているのでご注意。

※画像はベレッタ社の68・69系の2ボスロッキングシステム(トップ寄りのセンターロック機構)

 

【アンダーロック機構】

  ミロク MS2000 M8000 シリーズ

  ブローニング スーパーポーズド シリーズ

  シーザーゲリー二 テンパー&サミットシリーズ  など

【センターロック機構】

  ベレッタ 68&69系 / SL2

  ペラッツィ MX系 / HIGH TECH シリーズ

  アントニオゾーリ クロノス シリーズ

   ATA arms SP シリーズ

  ブローニング シナジー シリーズ  など

【トップロック機構】

 ベレッタ DT11 / DT10 / ASE系 / SO系

 メルケル系

 SKB系  

 その他 美術的価値が高い彫刻マシマシな高級銃  など

(資)中京銃砲火薬店 TEL:052-321-5130

定休日:毎週 日曜・月曜

記事 (資)中京銃砲火薬店 ミズノ